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賢者モード

10月1日。

サラリーマンとしての調教を受けた僕にとっては、重要な日だ。
期が変わる、重要な日だ。

昨日の夜中は風がすごくて、今日の空はとっても青かった。

東横線に乗って空を眺めている。青い。

雲1つない空、というのはこういうことなんだろう。

電車にゆられる僕のiPhoneからは、吉田拓郎井上陽水がギターをかき鳴らし歌っている。
松任谷由実星野源椎名林檎がチャットモンチーが歌っている。


ほどなく目的地へと着いた。


ランダム再生のランダムとは、どういう意味があるのだろう。

ランダム氏は僕のiPhoneから、The Offspringや、ZAZEN BOYSや、ゆらゆら帝国を。
なぜ再生しなかったのだろう。


僕は今日の気分にピッタリだなあ、と思いながら、電車に揺られている。




ここ最近フワフワとしていた。

心がどちらに行ったら良いのかわからない。

今日で自由になって1年が経つのである。

自由と引き換えに、束縛の価値を知るとは皮肉なものだ。


自由であるから、誰かにその不安を埋めて欲しいと思っていた。

誰かから「あなたは自由で良いんだから、抱きしめてあげる」と言われたかった。

要は、セックスがしたかったのだ。



そんなときに女の子に出会った。

まあ、3回くらい遊んだり、食事なりをしていたので
そろそろイケるんじゃあないでしょうか、と思っていた。


4回目にあった時、ご飯を食べていたら。


「大仏くんにね、前から言おうと思ってたんだけど。わたし夢があってね、海外に行くの」


おいおい。

驚愕した。

女の子にではない。


僕が逃げようとしていた所に、この女の子をぶつけてきた何かに、驚愕した。

僕は心の中でつぶやいた。



そう簡単には逃がしてくれないんですか。神様。

信じちゃいないけど、神様。



自分が追いかけていた、夢みたいな、夢よりもっともっと遠いものを、見ないようにしていた。

近づこうとすれば、その試練がどのようなものかわかる。

だけど、目指すべき遠いところから逃げるために近づいた女の子が、また突き放してくれたのだ。



僕は、その言葉を聞いた瞬間。

情事も終えてないのに、俗に言う「賢者モード」になった。

少しだけ神様に近づけた気がした。



10月1日。

超、晴れですね。

台風は、淀んだ何かを。

フワフワとしていた僕の気持ちに似ているような雲を。

全て吹き飛ばしてくれたように思う。

皆さんにも、僕にとっても。

充実した2012年度下半期となりますように。