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Everything is made from a dreamだと良いんだけど


日曜の午前中に。


関口宏が淡々と話を進める。


「次はゴルフ。どうしちゃったのかなあ、遼くん」


石川遼くんは、とても僕が想像もつかないような才能を持ち合わせているプロである。

アメリカのオープンで結果を残せていない映像が流れ、おっさんから喝を入れられる。


おいおい、そんなスゴい人より、ぼーっとテレビ見ている俺にこそ喝をいれてくれよ張本さん。

この番組を見るたびにそんなことを思う。



関口宏が淡々と進める。


「次、卓球です。愛ちゃん、途中までは良かったんだけどなあ・・・」


東京フレンドパークの支配人である仕事は、もう放棄したのだろうか。

壁に向かって勇敢にチャレンジする、「ためちゃん」のデモンストレーションはもう見れないのだろうか。


関口宏は、一度も笛を鳴らすこともなく進行を進めていった。



「風をよむ」というコーナーが始まる。


オウム真理教の高橋容疑者が逮捕されたので、今日はオウム特集のようだ。

懐かしい映像が映し出させる。


「1984年に彼らの母体となるサークルはスタートして・・・」


奇しくも、僕と同い年のその団体のボスである、長髪ひげ面の男の映像が映し出され、VTRが始まった。


ナレーションは重々しい語り口調で煽りを入れる。


サティアンやポアなどの言葉を〜」


明朝体でフェードインしてくる言葉や、当時の映像をぼんやりと見ている。

彼らにとって崇高な意味をなすであろう言葉は、マスコミによりお茶の間へと広まった。

当時、小学生だった僕らの、絶好の遊び言葉となったことを思い出した。



ご本尊?なのかわからないが、その方向へ向かってひたすら頭を垂れる信者たち。

稲穂のように穏やかに垂れるわけではない。

打ち付けるように、何度も何度も。



僕はそのモザイクのかかった画像を、実家のテレビで見ていた。

せっかく母親が作ってくれたみそ汁がまずくなってしまう気がして、番組を変えた。



最近読んでいたBRUTAS「糸井重里特集」の中にあった、吉本隆明さんの言葉を思い出す。


仕事においてどういう視点をもてば良いのか、という話で。

「中流の中以下の人が、どういうふうになってるかな、どう考えてるかな」

ということだと思います。
それが、その「とき」を本格的に観察し、解明する場合に、機能的にいちばんいいと考えています。
人事問題から、経済問題まで、すべてがそうです。


ほぼ日刊イトイ新聞吉本隆明のふたつの目。」より

中流とはどこなのか?というラインを見つけるのは難しいけど。

僕はあまりに細分化された世界で生きていたなあ、と改めて思う。

それは、誰でも同じだと思うんだけど。


世の中には、生活保護を受けなくてはならないヒトがいて。

その一方でバカみたいな金持ちのようなヒトがいて。



そして、皆何かが足りずに幸せを求めて生きている。

そして、他人の実態を知らないまま生きている。



最近になって、自分が今まで知らなかったカテゴリーの人に会う機会が増えた。

その感覚が少しわかってきたような気がするけど。

全てを網羅することはできない。

想像する事しかできない。



だから世の中すべてを分かったように、決めるつけるように語る大人とか。

そんなヒト見るとホントかよ?って思うようになって。


だけどその一方で、どこかで自分の見た世界観を語れる事は大事だとも思う。



あーだこーだ考えて、再びTBSにチャンネルを戻すと、「サンデージャポン」がやっていた。

友近さん扮する演歌歌手、水谷千恵子のキャラクターの抜群のクオリティーと滑稽さに、思わず笑った。



オウム真理教のことを、改めて考えてみる。

彼らは何かを変えようとしたんだ。


高学歴集団の彼らは、上流に自分達が属しているという中で、彼らなりの世界を作ろうとした。

きっと、中流のヒトが渇望するモノと、彼らの求めているモノは圧倒的に違ったのだろう。



彼らがあまりに滑稽で、愚かな行為で、歴史に残る大きな罪を犯した事実は間違っていない。




僕は1つだけ、こうであって欲しいな、とお願いをした。

彼らが見ていた世界のスタートは、世の中をより良くするため、という善の気持ちから始まっていたら良いなあ。

そうであって欲しい、と僕は願った。そうじゃなきゃ恐ろしすぎると、僕は思った。



だからこそ、吉本隆明氏の言葉というのが身に染みてならない。

自分の目線が間違っていないのか。

自問自答し続けるのが大事なんだろう。



先週は就活で苦しむ若者たちについて考える機会があったが、やはり視点を変える存在がいるのだろう。

人でも良いし、文章でも良いし、歌詞でも良い。

なにかを真っ直ぐに見つめている、見つめる事しかできないとき。

視点に変化を与えてくれるような存在。


そんな存在として、世の中と関わってみたい。

と、改めて思った。


そんな存在とは、危険性も大きく含んでいる。

と、改めて思った。